実際に会わないとダメ?オンライン採用に意味はあるのか
人材を確保する際には採用活動を行うことになりますが、最近は実際に会わずにオンラインで行う「オンライン採用」も増えてきています。しかし、これまでそのような採用活動の経験がない人なら、実際に会わずにうまくいくものなのかと疑問に思うかもしれません。オンライン採用には意味があるのかどうか、くわしく解説していきましょう。
これまでなぜオンライン採用が進まなかったのか
採用しても大丈夫な人間なのか、採用活動では応募者を慎重に見極めなければなりません。これまでは実際に会って顔を合わせるという、リアルな場での採用活動が当たり前でした。それが常識だと思っている人がほとんどで、オンラインですべて行うのもOKという人はまだ少数のはずです。
企業の採用担当者の多くが、採用活動はリアルな場で行うのが常識だと考えており、自分が担当するなら、やはりリアルでなければならないと思い込んでいることが、オンライン採用が進まなかった原因なのでしょう。しかし、リアルな場で採用活動を行うことが、オンラインで行う採用活動に勝るとは言い切ることができないようです。
就活する学生にとってリアルはデメリットが多い
就職活動で実際にその企業まで出向くことは、時間と手間、そして場合によってはお金も必要になります。学業と並行して就職活動を行っている学生なら、学校の授業や課外活動を休み参加することになりますし、その企業が遠方なら交通費の負担も大きくなるでしょう。参加する学生側の都合はそれほど考えずに、とりあえずこちらまで来いというのは学生にとって納得できないことかもしれません。
ここ数年で、学生の就職活動はそれほど盛んではなくなりましたが、これは売り手市場という学生に有利な状況になったことも影響しています。売り手市場なのですから、買い手(企業)に対して下手に出る必要もないわけで、企業にもよりますが「こっちまで来て」といわれると面倒だと思ってしまう場合もあるでしょう。結局、リアルでなければならないと思っているのは企業側だけで、そういう思い込みがオンライン採用を却下させているのではないでしょうか。
オンライン採用にどんなメリットがあるのか
実際にオンライン採用にはどんなメリットがあるのか、くわしく見ていきましょう。
会社説明会をオンラインで行えば?
採用活動で最初に行うものといえば情報提供、もっとも代表的なものは会社説明会でしょう。オンライン採用が行われる以前にも、企業の採用ホームページなどで会社説明の動画が公開されることもありましたが、それを見たからといって説明会に参加したことにはならなかったはずです。
しかし、最近はリアルな会社説明会を行わず、オンラインで説明会の動画を提供する企業も増えてきています。これを行うことで、より多くの学生たちに情報を提供することが可能になっています。また、遠方の学生などリアルな会社説明会に参加するのが難しい学生や、学業・課外活動に忙しい学生でも参加しやすくなるでしょう。参加者が増えれば、その分優秀な学生を獲得できる確率も上がると期待できます。
面接もオンラインだとこんなメリットが
面接をオンラインで行う、いわゆるリモート面接に切り替えることで生まれるメリットには、遠方の学生でも気軽に面接を受けられることがあげられます。移動のための時間を省くことができ、交通費や場合によって発生する宿泊費用なども不要になるからです。パソコンのモニターを通じてやりとりしても雰囲気が伝わらない、そう考える人も少なくありませんが、それはもう過去の話です。リモート会議なども普通に行われている時代になっていますから、面接の場合はダメということにはならないでしょう。
録画面接という方法もある
リモートでの面接以外にも、オンラインでは録画面接という方法を選ぶこともできます。企業はあらかじめ面接で質問する内容を録画しておき、応募者はその録画された内容を確認し回答するのですが、その回答しているシーンを自撮りし録画するのです。録画したものはネットにアップされ、企業の採用担当者が確認して評価を行います。リモートなら双方の都合を合わせる必要がありますが、この録画面接なら質問も回答も好きな時間でOKです。これならより多くの参加が見込めるので、面接の精度アップも期待できるでしょう。
オンライン採用にもデメリットはあるので注意
メリットが多いオンライン採用、デメリットというほどのデメリットはないという人もいますが、まったくないというわけではありません。
画質や通信速度が問題になることも
オンラインでは、画質や通信速度がすべて同じ条件というわけにはいきません。場合によっては表情やしぐさ、反応が伝わりにくくなることがあります。また、通信が途切れてしまう可能性もゼロではありません。必要に応じて、二次試験や最終的な面接はリアルで行うことも検討したほうがよいでしょう。
ついでの社内見学ができない
リアルな面接では来社することで、社内を見学することもできます。社内でどのように社員が働いているのか、雰囲気はどうなのかなど、オンラインでの面接ならそれを確かめたり感じたりすることはできないでしょう。
応募者が対応できないケースもある
オンライン採用の場合は、通信の安定のためにパソコンを使用するよう求められることもあります。スマートフォンは所有していてもパソコンはない、そういうケースもあるでしょう。応募者側で対応できない可能性があることも理解し、不公平にならないよう配慮することも必要です。
まとめ
リアルからオンライン採用に切り替える企業も増えているといいますが、これまでの常識から考えて導入するのが難しいという採用担当者も多いのではないでしょうか。しかし、オンライン採用は学生の立場からすれば、リアルよりもメリットが多いのは確かです。デメリットがまったくないわけではないので注意も必要ですが、企業側のメリットももちろん多いので、頭から否定せずオンライン採用を検討してみてはいかがでしょうか。